2019年06月05日

クリは遙か遠くになりにけり

> 昔は日常茶飯だったものが、砂漠で針を探すような環境になりました
> 加工する大工さんがいません


残念ではありますが、たしかにクリ材は一般の住宅建築の現場から市場性が無くなりました。

つい数年前まで、弊店取引先製品市場の事務所軒先に常に積まれてあった岩手県産クリのネコ板も、気が付くといつの間にかその姿を消していました。今日では事前に依頼しなければ入荷せず、さらにここまで手軽に扱える工業樹脂製の土台パッキン製品が普及した現在、時間と手間を掛けてわざわざクリネコを依頼する小売業者が激減するもの理解できます。

今回も知り得る範囲で四方手を尽くして「クリを探しているんだけど…」と伝えても、製品市場担当者との会話はどこかかみ合わず、こちらの意向に当を得た回答はありませんでした。これも時代の流れかな…とため息が漏れますが、それにしては木材を業として扱う専門職として寂し過ぎます。

幸いにも弊店の周囲には、まだクリネコを削ってくれる大工さんは現役です。
ただご多分に漏れず高齢化は一段と進み、いつまでも現状を維持できるわけがありません。近い将来「さて、だれ(どこ)に頼もうか…」と頭を抱える時が訪れるのは間違いないことです。
クリのアク
掲載しました上記画像は、ヒノキの赤土台にクリネコ板を挟んだ弊店施工例です。
かつてこのクリネコから布基礎ににじみ出たアクを、建て主さんから「基礎が汚れている」と指摘されて、白色のペンキを上塗りした施工業者がいたと聞いたことがあります。

こう聞くとお粗末な笑い話ですが、住宅建築や木材に携わる者としては実に本末転倒な愚行です。クリ材が市場性を無くした原因は唯一この一点、我々木材業者が一般消費者に正しい情報を正確に伝えなかった、これに尽きます。そして足下を見つめると、現状がこのまま続くとかろうじて流通しているスギやヒノキも、やがてこのクリと同じ道をたどることになると危惧してなりません。

ちなみに上記画像の物件の建て主さんご夫婦は、この基礎に流れ出たアクを見て「ワァ、ほんとに出てきた」と写真に納めていました。もちろん現在でも床下は画像の状態に変わりありません。

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posted by 長風呂呑平 at 17:24| Comment(1) | 樹と木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする