と記憶を辿ると今から七年ほど前のことだったと思う。当時懇意にしていた某業界新聞の若手記者を通じて、埼玉県内のある木材業者を紹介された。
私より数年先輩と見受けたその方は、その地域の同業者で組織する組合長の職に就かれていた。そこで近く行われる組合の新年会でこの「季のある住まい」の発刊に至る経緯と、それに続いた定期勉強会、そして当時開催していた森林見学会について話してもらいたい、と依頼された。

私が同業者を前にして話をしたのは後にも先にもこれっきり。その謝礼として(たしか)10,000円が入ったのし袋をもらった。
引き続き宴会になり、幾人かの方が名刺を持って私の席まで挨拶にみえた。
その中のひとりにここの組合員が仕入先としているであろう、ある木材市場の取締役専務と書かれた名刺を差し出す方がいた。
数日してその取締役から電話があった。
「先日紹介された冊子を200部送って欲しい。送付先は弊社宛で、領収書の宛名は@@@買方組合にしてください」と言う。
その依頼のとおり早々に送り、さていったいなにに使うのか…と不思議に思っていた。
しばらくして人づてに、その取締役が自ら「茨城の若い人たちがこういう本を作ってこういう活動をしている」と、その木材市場に属する買方一軒一軒を説いて回ったと聞いた。
その後偶然にその取締役と会う機会があった。
私が「その節はご協力をありがとうございました」と礼を言うと、「いやぁ、鐘鳴らせど響かずでした。わずかでも「それじゃぁ」の言葉を期待していたのですが…。これで私も定年です」と笑われた。
現在は退職されてその方の所在はわからない。
冊子発刊の趣旨をよく考え、それを実行活用した数少ない理解者だった。
あれから七年を経て我々を取り巻く商環境はより細く狭くなり、確実に悪化した。
新年会で受け取った名刺と、発送したゆうパックの伝票は今でも机の奥にある。

みんな競争して仕入れているんだから
ライバルであって「組合」の意味がわかりません。
そんな人たちが組織を作っても温度差はバラバラで、
この方のなさった行為の結果は当然ということでしょうか。
そのカネを市場会社が管理していますから、
市場会社のための組織に間違いはありません。
だから総会や新年会で酒が飲めるのですよ。
それ以上でもそれ以下でもないはずですが。